永遠なる安寧とした生活

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 部屋はコンクリートの打ちっぱなしで窓はない。狭くはないが殺風景だ。ベットにテレビ、それにトレーニング器具のようなものがいくつか置いてあるだけ。最初こそ試してみたが腰を痛めてすぐやめた。食事は1日3回定期的に運ばれてくる。基本的には毎日同じメニューだが、月に何日かは地域の特産品が出る。そういった食事がほぼ唯一の楽しみだ。
 昔は部屋に若い女が現れたこともあった。反応らしい反応がない女で、誰が見ているわけでもないので、好きなようにさせてもらった。しばらくして妊娠したら、またどこかへ消えてしまった。
 ここの生活は何せ平穏で安寧としている。働けと駆り立てるものも、命を脅かす存在もない。だだ時間を消費することだけが私の使命のようだ。

 あの日、私はUFOにとらえられた。
 それ以来、私の生活はずっとこの調子だ。
 おそらく命の尽きるまで、私はこの部屋の中で過ごすのだ。
SF
公開:20/12/06 10:58

たけのこ

たけのこです。
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