月に行くおばあちゃん

1
4

地球規模の一大プロジェクト。
人類の月移住化計画。
その最初の移住者に、うちのおばあちゃんが政府から任命された。移住者は民間から無作為で選ばれた。
危険のある任務だけど、政府の命令は絶対。
おばあちゃんは月へ行く準備をはじめた。

おじいちゃんは喜んだ。国のためになると。お父さんは少し寂しそうだった。自分の母親だから。お母さんは静かに旅立ちの準備を手伝っていた。
ぼくはおばあちゃんが羨ましかった。宇宙に行ってみたかった。月にも行ってみたかった。
旅立ちの朝、宇宙服に着替えたおばあちゃんは笑顔だった。

おばあちゃんはスペースシャトルに乗り込んだ。離陸のカウントダウン。
3、2、1、ファイア。
大地震みたいな音と揺れ。シャトルは白い煙を吐いて空へ上がっていった。
ぼくは願った。
「どうかシャトルが落ちませんように」
筆者は願った。
「どうかこの物語がオチますように」
一方の願いだけが叶った。
公開:20/12/07 08:10

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容