青い瞳

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 バスの中はゴミで溢れ返っていた。まるで大きなゴミ箱みたいだった。シートは所々が剥がれ、ヘッドレストには知らない奴の髪の毛が引っ付いていた。窓を開けている奴がいて、冷たい風が俺の身体を冷やした。全く最悪な場所だと思った。そこに自ら金を出して乗っていると思うと、損をしている気分だった。本を読むことはできそうもないと思ったが、それでも俺はポケットから本を出して読むことにした。習慣的にそうした。
 「その本、面白いわよ」
 そう言われ、俺は後ろを振り向いた。とびきりの美人が、青い瞳でこちらを見ていた。
 「読むのはこれで三回目さ」と俺はできるだけクールにそう言った。
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公開:20/12/07 00:02

杉将

基本的に、無、です。

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