砂の迷路

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 彼女と一緒に海へ遊びに行くと、砂浜に巨大な迷路ができあがっていた。迷路の壁はとても高く、五mは優にありそうだった。
 一体、誰が作ったのかは分からなかったが、迷路の入り口付近には、砂で作られた立て看板が置かれていて、「どなたでもお好きなようにどうぞ。参加費無料」と記されていた。
 私たちは顔を見合わせると、これも面白そうだと思って、二人で迷路の中に入ってみた。
 迷路の中はとても静かで、私たち以外には誰も入っていないようだった。中はヒンヤリとしていて、夏とは思えないほどだ。
 私たちはそれでも互いにじゃれて笑い合いながら、ああでもないこうでもないと言って、結局、三〇分くらいかけて出口と上に記された場所まで到着した。
 思ったより長くかかっちゃったね、と彼女と一緒に言い合いながら外へ出て、私たちは思わず立ち止まってしまった。
 目の前には砂浜ではなく、果てしない砂の迷路が続いていたからだ。
ファンタジー
公開:20/12/05 08:01
マジックリアリズム 『幻想日和』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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