発酵人間

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人間の脳を発酵させて思わぬ知恵や発想を閃かせる微生物が発見された。
脳は「脳みそ」とも呼ばれる。この微生物が脳内でアメーバやゾウリムシのようにどんどん分裂して増殖するが、その過程で脳みそが活性化される。麹菌によって大豆から味噌が醸成されてできるのと似ている。
オーラやカリスマ性があったり、起業して成功する多くの人たちは、この微生物のお蔭といわれている。これらの人たちは、味噌汁に微生物の入ったミクロサイズのカプセルを溶かして食べていて、朝から脳の活動が並外れて活発になっている。また、「手前味噌ながら」と前置きしてから話すことが多い。
だが、調子に乗りすぎると味噌を付けることもあるので注意が必要だ。脳があっても能がなければ仕様がない。
アイデアが思い浮かぶと頭上あたりが電球のように発光するので、真っ暗だと誰がその人物かよくわかる。
ただ、通常は能ある鷹は爪を隠すので、気づくことはほとんどない。
SF
公開:20/12/05 07:20
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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