渡り鳥

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冷え込みのきつい朝だった、窓を開けて外を見ると家の前の電線に、見張り役の様な鳥が停まってこちらを見ている。私と目が合うとニコッとしたような気がしたが、直ぐに飛び去った。

いつの間にか数十羽の鳥達が、我が家の上空をぐるぐると回り始めていた。どこか暖かい国へ渡って行くのかなと、見ながらガラス窓越しに立っていたら、またさっきの鳥が戻って来て、私の目の前に来てジートこちらを見ている。

はっと、思い出した。
去年我が家の庭の木に巣を作った鳥の家族がいて、巣立ちの時に兄弟鳥は上手く飛んで行ったが、一匹だけが巣から落ちてしまった。その小鳥を拾い上げ私の掌から飛ばした記憶が蘇った。
あの時の鳥だ、私が気づいた時は、もう集団は遠く上空で旋回しながら離れて行くのが見えた。

きっとわざわざ会いに来てきれたんだ、ありがとう。
無事にまた来年も帰ってきてね、今度こそ待ってるからねと、祈りながら手を振った。
ファンタジー
公開:20/12/05 06:35

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