ナンバーツー

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「やっぱり」男は何やら納得した。「やっぱそうだよね。そうきちゃうよね。はいはい」
 マスクをしていてもよく声がとおる人だ。

「あの、お客さま——」

「あ、いやね、実は二番窓口に呼ばれるんじゃないか、そう予想してましたッ。ハハ、オレさ数字の二にすごく縁があんのよ。ね?」

 あの、という声は次々かき消されていったが、「あ」と大きく出した声が二人重なる。

「二渡っていうの、お嬢さん」

「まあ、苗字なら変わる予定ですが」双子のカレと二年の交際を経てもう時期結婚する。かくいう私も数字の二には強い縁を感じていた。「そういえば私、二回目です。前にもお客さまと似た話を聞いたことがありました」

「へえ、偶然」必要書類をやっと受けとる。

「そうですね、偶然といえば偶然ですが、必然かもしれません」マスク下の顔に想像がつく。「同じ日、同じ母、同じまち。初めまして。私、弟さんの婚約者です、お義兄さま」
その他
公開:20/12/04 22:46

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