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部屋の電気の明かりがやけに眩しかった。
「弘人君。私のことが見える?」
 隣で女性の人が僕のことを心配そうな目をして
見ていた。弘人?それは僕のことだろうか?
「今、看護師さん呼んでくるからね」
 そう言って女性は病室から出ていった。
 僕はどうしてこんなところにいるのだろうか。
 体をゆっくりと起こして部屋の中を見渡した。
どうやらここは病院のようだ。
「痛い」 
 僕は後頭部を抑えた。包帯が巻かれていた。
何も思い出せなかった。
 ここにいる理由も、自分の名前すらも。
「弘人君。看護師さん呼んできたよ」
 さっき病室から出ていった女性の後に続いて
看護師さんと医師が入ってきた。
「気がついたみたいですね。
自分が誰だかわかりますか?」
 医師が僕に向かってそう言った。
「すみません。何も思い出せないんです」
 そう言った瞬間。
 隣にいた女性が息を飲むのが分かった。
公開:20/12/05 23:30

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