透明度の高いくらげ

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青い青い海の中には、様々な生きものたちがいる。優雅に泳ぐもの、砂の中に潜るもの、仲間と群れを作るもの。その中で、透明度の高いくらげがいた。海水と同化してしまうほどの透明度なので、敵に見つかりにくい。自由に海の流れに合わせて漂う。夜になると真っ暗になるためますます姿がわからない。独りでゆったりとした時間を過ごしていた。

そんな過ごし方をしていると、くらげは時々独りが辛くなる時があった。寂しさ、悲しさを感じると夜に限り体が発光した。まるで、夜の海に月が浮かぶように。
その光に寄ってくる生きものはいるが、触れた瞬間にぐったりとしてしまった。そして、暗い海の底に消えた。くらげの体には命を喰らうほどの毒が巡っていたからだ。

くらげは、これまでもこれからもずっと独りぼっち。
ファンタジー
公開:20/12/03 18:02
更新:20/12/03 19:22

イチナ

ショートショート初心者です。不思議な話が好きです。よろしくお願いします。

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