無菌室にて

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「子宮筋腫だな、これは」
「いや、子宮肉腫だよ」
「平滑筋の感じは子宮筋腫だろう」
「珍しいが子宮内膜間室の肉腫だ」
「超音波触診ハンドではわからない」
「検体を採って調べよう」
「細孔レーザーメスでやる」
「いや、ドリルがいいぜ。極細精密ドリルで検体もたっぷり」
「レーザーメス!」
「精密ドリル!」
結局、メスで割いてドリルで突っ込むことになった。
精密ドリルが子宮に入ると先端が何か異物を感じた。
「異物摘出だ」
「な、ドリルでよかっただろう」
ドリル先端が細く開いてナノピンセットが異物を掴むとドリルはさっと引き抜かれる。ピンセットが挟んできたものは丸く、30ミクロンほどの虫。極小ではあるがどう見てもそれはテントウ虫だった。どうしてこの小さな虫が子宮に入っていたのか。
二機の医療ロボットは議論をはじめた。二機が議論している間にテントウ虫は羽を広げて飛び立ち無菌室の排気孔から出ていった。
その他
公開:20/12/03 16:46

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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