新幹線ゆかり号

「お母さん、これなんて読むの？」
「それは『縁』えん。それと、ゆかりとも読むのよ」
「ゆかりってなぁに？」
「そうねぇ、お友だちを作ることかな」
ボクの家は引っ越しばかりで友だちを作るのが大変だ。だから電車ごっこで友だちを作るんだ。ダンボール箱の底を切り取って電車にするやつ。そうだ！　ゆかり号を作ろう。新幹線ゆかり号だ。

ゆかり号で公園を走った。誰も来なくて悲しくなった。
「ゆかり号、運転していいかな」
よく行く商店街の会長さんだった。
「うん」
会長さんとボクはゆかり号で商店街に向かった。会長さんはケータイ電話で誰かと話している。

八百屋のおじさんがダンボール電車で待っていた。魚屋さんも靴屋さんもどんどん連結して公園に着くと10両編成になった。
「みんな、ゆかり号の仲間になっていいかな」
「はい！」

私は社会人となり、この商店街活性のプロジェクトを立ち上げた。
仲間を救うためだ。