おでんの扉

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 Y氏はおでんが大好物。
 50年生きてきて、こだわりがある。
 特に、薬味はカラシ。これを超える物はない。
 ある日、職場の同僚とおでん談義に花が咲いた。具の好みはそれぞれだっだが、やはり付ける薬味はカラシだ。味噌や生姜、柚子胡椒などもいたが、カラシに勝るモノはない。
 しかし、A君の言葉で空気は変わった。

「マーガリンですね!」

 長年カラシに慣れてきたせいで、マーガリンは気持ちが悪い。Y氏は鼻で笑ってしまう。A君は念を押した。

「ジャガイモ、ジャガイモが最高ですから!」

 帰宅後。
 不本意ながらY氏はA君に言われたとおりマーガリンを塗って食べることにした。初めは卵、ちくわ、ガンモ、こんにゃく。どれもそれなり、意外といけた。
 そして、ジャガイモを食べた瞬間。

ゴゴゴゴゴ……。

 Y氏は新しいおでんの扉を開くのであった。

「ちょ、何これ!うまッ!!!」
その他
公開:20/12/03 01:35

福田天太郎

はじめまして。プロフィールを見てくれてありがとうございます。とっても嬉しいです。

ジャンルは濃い恋愛以外はなんでも書きます。
ショートショートも大好きです。やはり源流は星新一先生ですね。


カクヨムでハイジの続きとか小説書いてます。こちらもよろしくお願いします。

 @hukudahappy
 

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