変わりペガサス

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 朝、ホテルのベランダから何気なく外を眺めていると、上空に一頭のペガサスが現れた。
 ありゃ、どうしたんだろうと思いながら観察していると、ペガサスは別に迷っているという風でもなく、しばらく上空を旋回していたのだが、やがてヒヒィン、と一声嘶くと、どこかへ飛んで行ってしまった。
 ペガサスは群れで生活するものだとばかり思っていたので、ああいう変わり者ならぬ変わりペガサスもいるのかと妙に感心していると、上空から大量の馬の嘶きが聞こえてきた。
 何事だろうと思って見ていると、突然、幾百、幾千とも分からないペガサスたちが現れて、先ほどのペガサスが飛んで行った方角へ向けて、実に優雅に飛んで行くのだった。
 この、今を逃したら二度と見れないのではないかと思える光景を慌ててスマホで撮影しながら、先ほどのペガサスは変わりペガサスでも何でもなく、単なる先導役だったのだ、ということに遅ればせながら気が付いた。
ファンタジー
公開:20/12/04 07:57
マジックリアリズム 『幻想日和』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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