犬のマイケルはジャズシンガー

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白戸は港町でジャズのサックス奏者をしている。
彼が仕事に行くときはいつも犬のマイケルも連れて行く。
ある日いつものバーで白戸が仲間たちとジャズセッションをしていると、客の前でちょっとしたハプニングが起きた。
白戸のアドリブパートが始まるタイミングで、マイケルがステージに躍り出て吠え出したのだ。
困ったな、演奏を中断しようかと、仲間同士目配せをしているうちに、少しずつみんな気づきはじめた。
待てよ、もしかして…マイケル?
彼はコード進行をよく聴きながら、己の魂の感じるままに強弱をつけて遠吠えをしている。
まるで白戸のサックスのように!
ユーモアのある笑みが交わされた。
セッションは続行だ!
聴衆からも感動の拍手が起きて、マイケルはアドリブを終えた。
彼は誇らしそうに笑う。

その日からマイケルは犬のジャズシンガーとして話題になり、白戸の公演が行われる日には必ずステージに上がるようになった。
その他
公開:21/02/12 14:15
ジャズ

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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