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魔城に足を踏み入れた時、パーティーは四人だった。
だが決戦を目前にして、僕はいま一人でいる。

「素晴らしい魔力じゃ。おぬしはこんなところで油を売って、いや、杖を振っていていいような人材ではない」
優秀なソーサラーは口車に乗せられ、異世界に旅立った。

「やるな……大した技と力だ。お前なら果たせるやもしれん。ここから先、遥か北の地に最強者の塔が聳えている。私と共に来ないか?」
武闘家は僕に小さく謝ると、八本腕の魔神に誘われ城を出て行った。

「なぜ、俺を助けた。君の目、まるで母のような……」
解呪の術で元の姿に戻った異国の荒くれ者と一緒に、僧侶は無言で去って行った。


最奥の巨大な扉を開く。
そこには行方不明になった勇者がいた。

「ようやく役目を終えられる」
「なんだって?」

「魔王の素質、それは人間から愛してもらえないことだ。ようこそ新たなる勇者、いや魔王よ」

彼は不敵に笑った。
ファンタジー
公開:21/02/12 13:00
更新:21/02/12 12:43

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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