ロケット

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発射の時間が迫っている。
1人の男が緊張の面持ちで発射を待っている。そのロケットは2人乗りだがもう一つの席は空いている。
彼の手には写真が握られていた。
このロケットに乗る筈だった男の写真。彼はもうこの世にはいない。カウントダウンが始まる。男は写真の男に語りかける。「大丈夫。心配ないさ、2人なら。いつだって俺たち2人で、成功させてきたじゃないか。」ロケットが発射する。男は泣き笑いのような表情になる。ロケットはどんどん上昇していく。大気圏を越えて宇宙の彼方へ飛んで行く。男が呟く。「ほら、言っただろう。願い続ければ、夢は必ず叶うって。」
SF
公開:21/02/11 21:59

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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