寿玉子(ことぶきたまご)

27
11

「皆さん、大変お世話になりました。これは私から皆さんへ感謝の気持ちを込めた寿玉子です。お召し上がりください。」
「玉の輿退社の由美ちゃんからもらった寿玉子とは縁起がいい!」
みんな喜んでゆで卵にして食べた。
「部長!大手の契約がとれました!」
「あと少しで今月のエリア表彰とれそうだぞ!」
「実は昨日の合コンで彼氏ができました~!」
次々と飛び交う吉報に、お局・宮崎の心中は穏やかではなかった。

「ふん!何よ。寿玉子?独身の私に対する当て付けって訳?」
宮崎はそう言って由美子からもらった寿玉子を放置していたが、こんなに効果があるなら試さない手はない。宮崎は玉子を食べた。そして次の日から一週間食中毒で会社を休んだ。
 復帰後宮崎は、ドアの前で部長の声を聞いた。
「宮崎君が休んでいる間、みんなのびのびと仕事ができて、念願のエリア表彰がとれた!これも寿玉子のお陰だな!」
その他
公開:21/02/12 22:30
更新:21/02/13 21:06

仁科佐和子( 愛知県 )

児童文学、エッセイ、小説などを書き散らかし、公募にいそしんでおります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容