花

昔々のお話。花の妖怪の女の子と人間の男の子がおりました。
二人はとても仲が良く、大人になったら結婚しようと誓いあっておりました。
しかし男の子の両親はそれを許しません。
男の子を花の妖怪の女の子から引き離すべく、遠くへと引っ越してしまいました。
花の妖怪の女の子は人間と妖怪は結ばれない事を知りましたとさ…

なんて事ない、私の話だ。今から２０年くらい前かな？懐かしい。
今の私は美しい女性の姿で人を惑わす妖怪と恐れられている。人間なんて玩具くらいにしか思っていない。
そんな私の前に、あの時の男の子が現れた。
大人になった男の子は迎えに来たと言って私を抱きしめ、隠し持っていた鎌で私の首を切り落とした。
「悪く思うな化物。お前の首は千金になるんだ」
卑しく笑う男を見て私は思いました。性根が腐っているな。
でも腐葉土には丁度いい。
私は彼を苗床にして新しい花…人間でいうところの頭部を咲かせました。