陽気な墓場

ある宗派の坊主が「お寺の墓は辛気臭くていかん。陽気な墓場を目指そう」と墓地のエンターテイメント化を推進した。
線香や仏花の売り上げではたかがしている。ようするに入園料ならぬ入墓料を取り、ひともうけをたくらんだのだ。
遊園地のコーヒーカップのように、回転式するお墓。レールの上を疾走するジェットコースター型の墓、さらには「ハッピーお墓君」が練り歩くパレードまで開催された。
ところが、喜んだのは参拝客ではなく、お墓に埋葬されている死者たちだった。
日が暮れるとともに、夜な夜な、幽霊たちがお墓で遊ぶ様子が目撃されるようになり、さらには近隣の墓からも幽霊が遊びに来る始末。
またたくまに、お墓は幽霊で埋め尽くされた。
坊主はため息をついた。
「陽気なお墓を目指したつもりが、妖気なお墓になってしまったわい」