今際の際のバレンタイン

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「はい、わたしの手作りチョコレート。ありがたく受け取りなさい」

「なに急にそんなこと? 別に俺とお前は恋人同士でもないだろ? いったいどうした」

「ふふ。わたしの勘がそうさせたの。将来の優良物件だから手付しておけって」

「そんなこと言ったって、俺たちまだ小学5年だぜ。うちは庶民のサラリーマンだし、俺、頭も良くないし、スポーツだってできないし」

「いいの。あんたは将来わたしをしあわせにしてくれることになるってわかっているから」

「わけわからん。でもまあくれるっていうのならもらっておくわ。ありがと」

あれから70年。俺は彼女と結婚し、子供や孫にも恵まれた。特に変わったこともなく、大金持ちになったわけでもなく、ごくごく平凡な人生を送ってきたと思っている。いったい彼女は何を根拠にあんなことを言い切ったのか、今はもう確認するすべもない。

煙突から立ち上る煙を見上げながらチョコを食べた。
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公開:21/02/12 18:00
更新:21/02/12 18:00
417 バレンタインデー オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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