魂の移植

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「ご気分はいかがですか」
身体が金縛りにでもあっているみたいに動かない。
「ああ、無理ですよ。その身体は自由に動く事はありません」
モニターに自分自身の姿が映し出される。
「まもなく、あなたの望みが叶いますよ」
自分の望みは生き地獄から逃れる事。
「あなたはこの大学病院の院長として、華々しく死んでいく」
今までの自分はゴミの様に扱われ、辛酸をなめる様に生きてきた。電気も水道も止められた生ゴミの臭いがする部屋で十二回目の自殺を図ろうとした時、突然この男に話しかけられた。コーディネーターだと言う。
「ある方があなたの人生を引き受けたいと」
どうせ死ぬなら手厚く葬られたい。
ーー苦しい。息が出来ない。
薄目を開けると病院の特別室ではなく見慣れたカビ臭いカーテンだった。
「あなたの人生はあの方には耐えられなかったそうで契約解除されました。でも願望は叶いそうですね」
男は肩をすくめた。
ホラー
公開:21/02/10 19:33
コーディネーター バッドエンド?

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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