地元の神社
4
3
この町の神様は青を好むと言われていて、神社には毎年青い工芸品が納められる。今年はこの冬一番に採れた空の染物が奉納されたらしい。
建てられた当時は真っ白だったというが、今は社も鳥居も、敷き詰められた砂利もうっすらと青みを帯びている。
雨が降るたび神社に植えられた紫陽花の色が、滴って移ったのだそうだ。
紫陽花に染まった神社は、日中いつ来ても夜明けの前のまま時間が止まったような様子だ。
だからだろうか。神社というと、あの日、鳥居の前で一人立ち尽くしていた時のことを、思い出す。気づいたらそこにいて、時間の経過が分からなかった。ひどく長い時間のような、少しの間のような。
緑の濃い匂いと、山から下りてきた冷気を含む風は、今でも肌に感じる。
そのわりに覚えていない。あの日、どうして神社に行ったのか、何をしていたのか。
その後も変わりなく過ごしているが、何かを忘れてきたような感覚を、引きずっている。
建てられた当時は真っ白だったというが、今は社も鳥居も、敷き詰められた砂利もうっすらと青みを帯びている。
雨が降るたび神社に植えられた紫陽花の色が、滴って移ったのだそうだ。
紫陽花に染まった神社は、日中いつ来ても夜明けの前のまま時間が止まったような様子だ。
だからだろうか。神社というと、あの日、鳥居の前で一人立ち尽くしていた時のことを、思い出す。気づいたらそこにいて、時間の経過が分からなかった。ひどく長い時間のような、少しの間のような。
緑の濃い匂いと、山から下りてきた冷気を含む風は、今でも肌に感じる。
そのわりに覚えていない。あの日、どうして神社に行ったのか、何をしていたのか。
その後も変わりなく過ごしているが、何かを忘れてきたような感覚を、引きずっている。
ファンタジー
公開:21/02/11 16:22
青
神社
冬空染め
見たい景色を文字で書いています。
ログインするとコメントを投稿できます