一宿一飯

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僕は幼い頃から
お金は大事にするものよ。
たとえ一円でも粗末にしない。
大事にするとお金に好かれるようになるんだよ。
そう母に教わってきた。

「助けてー」
僕を呼ぶ声がした。見渡してみるけど、誰もいない。
「ここです。助けてくださーい」
すると足元から、一円玉が叫んでいる。
どうやら、家族とはぐれたようだ。

僕は自宅に連れて帰り、温かいお風呂に入れ、スープを振る舞った。

そして広々としたベッドにひとり寝かせた。

翌朝、一円玉に
「家族みんなで、また遊びにきてね。」
そう言って送り出した。
一円玉の笑顔に僕もにんまり。

「あんな隙間風だらけのベッドなんて、二度と行くもんか」

その声を僕は知らない。
その他
公開:21/02/09 13:57

安楽人

ずふの素人ですが、物書きに興味を持ってしまい、
2021.1月からはじめました。
身近にあった出来事をヒントに書いています。
書くことがこんな面白いとは!

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