最悪の奇跡

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「……」
極度の人見知りという彼の立派な個性は、彼に今まで一人の友人も与えなかったばかりか、その性格をひねくれたものに仕立て上げた。今日も楽しげな同僚の雑談を盗み聞きながら、見当外れな恨みを募らせていた。
いっそ全て無くなればいいのに。何がキャンプの打ち合わせだ。

彼女にとって、彼はすべてであった。
彼がいるから彼女が存在した。独りのときは眩暈がするほど寂しかった。
真に心が通い合うなどありはしない、分かっている。ならばせめて身体だけでも…
「ずっと一緒に居れたらいいのに」

ある日、不条理な神様は下界を見下ろし、濁った感情の上澄みと蒸留された純粋な想いを調合させて最悪の奇跡を生み出した。

感染症収束の目途も立たず今日も在宅勤務の男は、平等な不自由が心地よかった。膝の上の猫も喉を鳴らす。
最近の彼はいつもそばにいる。
彼女にとってはそれがすべてであり、その他一切はどうでもよいのだ。
ファンタジー
公開:21/02/08 15:40
更新:21/02/08 16:07

どあら

97年生まれ。
仕事中、暇つぶしに書くことにしました。
お手柔らかにお願いします。。

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