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「お前が書く小説はお堅いんだよ。今時文学なんて誰が読むんだ、バーカ」

 同期の売れっ子作家にそう言われ、悔しくてペンに力が入った。クソッ、なんだよその言い方。俺は文学が好きで小説を書いているんだ、悪いか。

 だが世の中は面白いものが強いのだ。美的センスの文学など化石としか見られていないだろう。どうすれば俺の作品は世に認められるんだ。さっきよりもペンに力が入った。


「力み過ぎだぞ青年」

どこからか声がした。誰?声にして呼びかけた。するとまた声が。


「君が書く小説はまだまだ石ころ。それをダイヤの輝きにするのは君の情熱次第。外野の言葉など気にするな。それよりも刀を握るようにペンを持て。姿勢が命だぞ」

 その声は次第に小さくなり、いつの間にか鳥の鳴き声しか聴こえなくなった。その声のした方へ目をやる。それは、俺が愛してやまない武将の姿が描かれた掛け軸だった。まさか、いやまさかね。
その他
公開:21/02/10 12:00
#サムライ #幻聴

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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