刀の達人

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剣道の大会。優勝候補とうたわれていただけにこの結果はどうしても許せなかった。あんなに練習したのに、もうどうすればいいかわからない…そんな時だった、噂程度に刀の達人があの山に籠っているという話を思い出した。
藁にも縋る思いで山を登っていくと、白髪の老人が刀を研いでいた。私は尋ねる。
「あの、刀の達人ですか?」
「…ああ」
私は驚いたが、稽古をつけてもらえるよう達人に頼んだ。結果、修行をつけてくれることになった。
それから修行の日々が始まった。
達人の修行は非常に独特だった。「この仏像を購入し毎日拝め」や「このペンを倍の値で売ってこい」など…私は不思議に思ったが、達人は毎回こう言う。
「ほんとの強さとは、己を信じたものだけに訪れる」
…おそらく常人には理解できないのであろう…

翌年、私は1回戦で敗退した。
きっと鍛練が足りないんだ…
今日もレッスン料の3000円をもって山を登る。
SF
公開:21/02/07 05:22
更新:21/02/07 05:27

向田律動

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