ランプの精と少年

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昔昔、古ぼけたランプに住み着く精霊がいました。精霊は、生まれた時からランプの中にいました。
「外の世界が見てみたい」
それがランプの精の夢です。しかし、ランプの精は人の願いを叶えられても、自分の願いは叶えられません。ランプの精は、今まで自分を見つけた人に何度もお願いしましたが、誰一人ランプの精の為に願ってくれる人はいませんでした。
「人間は意地悪だ。何で僕はこんなやつらの願いを叶えなきゃいけないんだ」

ある日、一人の貧しい少年がランプを拾いました。ランプの精が現れてどんな願いも叶えると言うと、少年は言いました。
「じゃあ、僕と友達になって。ランプから出て、一緒に遊ぼう」
少年がそう言うと、ランプが光り、精霊は人間になっていました。
「お金や食べ物を願えば良かったのに」
ランプの精がそう言うと、少年は笑いました。
「お金や食べ物は働けば手に入るけど、素敵な友達にはそうそう出会えないからね」
ファンタジー
公開:21/02/08 11:39

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