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船……?
夜空にひっそりと浮かんでいた巨大な黒い物体を見上げながら、男は悪寒を感じていた。
船は密かに、音を立てず上空へと登っていき、影に隠されていた星々が徐々に姿を取り戻すのに合わせて、形を失っていった。
「いいんですね?」
女の声が訊いた。
「やり直すのだ」王は言った。
「世界は、浄化されねばならん」
宇宙から信号を受け取った各国の潜伏型コンピュータウイルスが、全世界へ向けて核ミサイルを発射した。
……。
船が地上に舞い戻ったとき、文明は跡形もなく崩壊し、瓦礫が地上を覆い尽くしていた。
「さあ、はじめよう。いまこそ清浄なる王国を作らん」
王が二百年越しの大地を踏むのに一歩先んじて、弾丸が彼の頭部を撃ち抜いた。
地下反乱組織の暗殺者達が歓声を上げた直後、船から王のコピーが姿を表した。
「変わらんなあ、人類!」
人間の宿敵は人間だ。いまも昔も将来も、変わることなどなく。
夜空にひっそりと浮かんでいた巨大な黒い物体を見上げながら、男は悪寒を感じていた。
船は密かに、音を立てず上空へと登っていき、影に隠されていた星々が徐々に姿を取り戻すのに合わせて、形を失っていった。
「いいんですね?」
女の声が訊いた。
「やり直すのだ」王は言った。
「世界は、浄化されねばならん」
宇宙から信号を受け取った各国の潜伏型コンピュータウイルスが、全世界へ向けて核ミサイルを発射した。
……。
船が地上に舞い戻ったとき、文明は跡形もなく崩壊し、瓦礫が地上を覆い尽くしていた。
「さあ、はじめよう。いまこそ清浄なる王国を作らん」
王が二百年越しの大地を踏むのに一歩先んじて、弾丸が彼の頭部を撃ち抜いた。
地下反乱組織の暗殺者達が歓声を上げた直後、船から王のコピーが姿を表した。
「変わらんなあ、人類!」
人間の宿敵は人間だ。いまも昔も将来も、変わることなどなく。
SF
公開:21/02/07 23:45
更新:21/02/07 23:33
更新:21/02/07 23:33
さまようアラフォー主夫
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