Ⅰ.038 老舗事務所の探偵たち~責任~

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「どういう事ですか?」
「わん」
「察しもつかないのかしら?」
 窓の外にめをやり、問いかけるお師匠。
 どうやらこっちは冗談ではないようだ。返答を間違えたら、我々は本当にクビだ。
「…記者を放置したからですか?」
「気付いた?迂闊だけど、間抜けにはならずに済んだわね」
 どうやら皮一枚で繋ぎ止まったらしい。
「釘刺しも口止めもせず、従業員の懐柔をまんまと許したのよ。弁明はある?」
「いいえ。何も」
「わん…」
 下手な弁明をすれば、残った薄皮も切り取られかねない。
「にしてもさすがね。わずかな時間でうちの受付に取り入るなんて。いい記者になれそうよ」
「え、あ、ありがとうございます」
 彼にそんな狙いが無いことはお師匠も承知の上だろう。しかし、結果を見れば、これはトトの実績であり、主人とわたしの失態なのだ。
「そうね。あなたが止めることもできたわよね」
「…わん」
 お見通しだな、お師匠。
ファンタジー
公開:21/02/07 22:19
更新:22/09/01 06:22
ファンタジー 連載 怪盗 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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