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蟻の群れが体の何倍もある蟷螂の死骸を運ぶ姿に目を落とす。
死神がいたら、蟻の姿をしているのかもしれない。そんなことを考えた。いや、死神の顔ならもう知っている。
初めて人を殺したのは、十の時。父を殺した。
母を病気で亡くし、父は酒に溺れ、毎晩俺たち姉弟は折檻を受けた。
鬱憤を晴らすのに俺や姉を殴る方が酒代より安上がりだと気付いたのだろう。あのクズが姉にした仕打ちを考えれば、息子に包丁で何度も刺されても文句は言えまい。教えてもらったことなど何もなかったが、どんな悪魔でも背中から刺せば死ぬ事は最後に教わった。面白くもない。
姉は男を引きつける天性を持っていた。女王蟻に傅く働き蟻のように男達は姉に魅了された。その中で厄介な男の背中を何人も刺してきた。当然だ。姉を守るのは俺の役割だ。
俺も蟻だ。姉の為に死を運ぶ蟻。
黒き軍勢達が凱旋でもするように、尚も骸を運び地を這っている。
死神がいたら、蟻の姿をしているのかもしれない。そんなことを考えた。いや、死神の顔ならもう知っている。
初めて人を殺したのは、十の時。父を殺した。
母を病気で亡くし、父は酒に溺れ、毎晩俺たち姉弟は折檻を受けた。
鬱憤を晴らすのに俺や姉を殴る方が酒代より安上がりだと気付いたのだろう。あのクズが姉にした仕打ちを考えれば、息子に包丁で何度も刺されても文句は言えまい。教えてもらったことなど何もなかったが、どんな悪魔でも背中から刺せば死ぬ事は最後に教わった。面白くもない。
姉は男を引きつける天性を持っていた。女王蟻に傅く働き蟻のように男達は姉に魅了された。その中で厄介な男の背中を何人も刺してきた。当然だ。姉を守るのは俺の役割だ。
俺も蟻だ。姉の為に死を運ぶ蟻。
黒き軍勢達が凱旋でもするように、尚も骸を運び地を這っている。
その他
公開:21/02/07 21:38
更新:21/02/08 14:02
更新:21/02/08 14:02
ういのおくやまけふこえて
いろは唄シリーズ③
サボりすぎてやばい笑
めちゃくちゃ暗い話で
ごめんなさい
空津 歩です。
ずいぶんお留守にしてました。
ひさびさに描いていきたいです!
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