笑いのツボ
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占い師がタロットカードを展開していく。
「恋人との相性は悪くないですよ。でも貴方が欲しいのは共感なんですね」
「彼と全然ツボが合わないんです。食べ物の好みも合わないし映画や本の趣味もまるで違う。映画を見ても笑う場所が全然違って、彼が好きな物を好きになりたいんです」
「全て感性が合う人なんて家族でもいないとおもうのですが。そうですね、どれか一つ叶うとしたら?」
「一緒にいて楽しく話したいんです」
占い師は小さな壺をテーブルに乗せた。
「これは『笑いの壺』です。恋人と一緒にいる時はその壺を持っていて下さい。彼の笑いを採取する事が出来ます。壺に溜まった笑いを飲むと、彼と同じ笑いのセンスが得られるのです」
半信半疑のままデートの時は常に持ち歩いた。その介あって壺の中身は一杯になった。
「映画観に行こうよ」
渡されたチケットは観たかった恋愛映画だった。照れた彼のバッグの中に小さい壺が見えた。
「恋人との相性は悪くないですよ。でも貴方が欲しいのは共感なんですね」
「彼と全然ツボが合わないんです。食べ物の好みも合わないし映画や本の趣味もまるで違う。映画を見ても笑う場所が全然違って、彼が好きな物を好きになりたいんです」
「全て感性が合う人なんて家族でもいないとおもうのですが。そうですね、どれか一つ叶うとしたら?」
「一緒にいて楽しく話したいんです」
占い師は小さな壺をテーブルに乗せた。
「これは『笑いの壺』です。恋人と一緒にいる時はその壺を持っていて下さい。彼の笑いを採取する事が出来ます。壺に溜まった笑いを飲むと、彼と同じ笑いのセンスが得られるのです」
半信半疑のままデートの時は常に持ち歩いた。その介あって壺の中身は一杯になった。
「映画観に行こうよ」
渡されたチケットは観たかった恋愛映画だった。照れた彼のバッグの中に小さい壺が見えた。
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公開:21/02/07 19:06
笑いのツボ
壺コレクション
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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