寄り道

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薄暗くて危ない場所こそ、寄り道したくなる。それが子供の本能というものだ。
由衣は古ぼけた倉庫の裏側が気になって仕方がなかった。
だれもいない、無人の荒地。ここを横切れば少し近道なのだが、そんなことより「危ない道を通る」という高揚感が由衣の背中を押す。
ジャリ、という足音を鳴らしながら倉庫の裏側に近づくと、同級生が二人でカードゲームをしていた。由衣は注意する。
「ここにいたら危ないよ。不良もくるし、先生からも近づかない方がいいよって言われていたじゃない」
「なあに、大丈夫だよ」
同級生たちは笑って取り合わなかった。由衣はがっかりした。せっかく自分だけの寄り道のつもりが、すでに同級生たちに先着されていた。この寄り道は汚された。汚染は浄化しなければならない。
その夜、古ぼけた倉庫から火の手が上がった。火事に巻き込まれて、不良が二人死亡した。
放火の疑いが強かったが、いまだに犯人は捕まっていない。
ホラー
公開:21/02/05 16:34

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