一か八かの寿司職人

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田中博は、会社をクビになったばかりで、貯金も銀行口座に30万円しかなかった。毎月の家賃や食費を考えると、大体月に15万は必要だ。これでは、2か月しか生活できない。

慌ててアルバイトの雑誌を見てみたところ、「すし職人募集。未経験可」と書いてある求人を見つけた。

日本人のくせに生魚は嫌いだが、すし職人は、これまでただの事務職のサラリーマンだった博にとって、何か手に職を付けるチャンスのように思えたのだ。

「じゃ、明日から来てくれる?ま、一か八かやってみな。」ちょっと頑固そうだが、人の良さそうな親父さんが言った。

こうして博は、生魚を食べない寿司職人としてデビューすることになった。

「一か八か自由にネタを握ってみな」と親父さんに言われ、博はハムキュウリ巻きや、つくね軍艦を作った。子供の頃に行った回転ずしで、そういうネタを食べた記憶があったからだ。

一か八か、それらの寿司は人気が出た。
青春
公開:21/02/05 05:56

クロッカス( 西のほう )

読書と創作文で脳内トリップ中。

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