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 テストを前に、万年最下位の孝と信吾は教室に残された。
「二人とも次こそ頑張れよ?」
信吾は元気一杯答えた。
「今度こそ最下位奪取して、名誉挽回だ!」
「それを言うなら最下位脱出して、汚名挽回な」

 先生がプリントを渡して席をたつと信吾は声を漏らした。
「俺、1問目から分かんねぇ」
「任せろ。俺、算数は得意なんだ」
孝は自信満々に問題を読み上げる。
「この円の面積を求めなさい?あー、あれだ。前にニュースで『円の面積はおよそ3になった』って言ってた」
「マジか!孝すげぇな、ニュースとか見てんのかよ、かっけー!じゃ、問1の答えは3で決まりじゃん!あとさ、円がおよそ3なら、四角は四隅にちょっと足すだけだから、およそ5くらいじゃね?」
「信吾、お前天才だな!」

 戻った先生は机に残されたプリントを見てぼやいた。
「マイナス同士かければ+になるはずだけど……足してもやっぱりマイナスなんだよなぁ」
その他
公開:21/02/06 15:30

仁科佐和子( 愛知県 )

児童文学、エッセイ、小説などを書き散らかし、公募にいそしんでおります。

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