鬼門【前編】

12
10

一四六七年に始まった応仁の乱以降、長く戦が続いていた京の都では、鬼が出没していた。
もともと京都御所や民家に鬼の通り道を塞ぐ魔除け、鬼門除けが設けられていたが、戦乱の渦中で悉く破壊されたことが原因だ。
鬼を封じ込めるよう朝廷から勅命を受けた室町幕府は、陰陽師である安倍晴明の末裔を見つけ、鬼退治に着手した。
まず、陰陽の狭間で不安定なため、鬼が出入りする鬼門がある丑と寅の間の艮の方向、北東に位置する比叡山延暦寺や赤山禅院、吉田神社の護りと、裏鬼門がある逆の方向、南西に位置する石清水八幡宮の護りを強化した。
次に、鬼門に桃の木や南天を植えて鬼退治の力を得た。
最後に、東西南北にいる青龍、白虎、朱雀、玄武の四神獣、そして中央にいる麒麟を呼び覚まし、鬼を洛中の外に追い払った。
京の都で鬼が出没することはなくなり、応仁の乱も収まった。だが、全国に散らばった鬼によって、その後百年続く戦国の世を招いた。
その他
公開:21/02/06 07:01
応仁の乱 京都御所 鬼門 朝廷 室町幕府 陰陽師 安倍晴明

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容