眼鏡と蛇の夢

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 こんな夢を見た。
 眼鏡なんてかけないのに、どうしても眼鏡を探さなくてはいけなくなった。
「薫さんは眼鏡をしていないと思っていましたけれど」
 瑠夏も首を傾げながら、それでも一緒に探してくれる。
 確かに、私は生まれてからこの方、一度も眼鏡のお世話になったことはない。それがどうして、眼鏡を探す破目に陥っているのかさっぱり分からない。
 しかも、探しているのが巨大な蛇の背中の上で、そこには私の背丈ほどもある草が茫々に生えているのだった。
 一生懸命探したけれど、眼鏡は見つかりませんでしたと諦めることもできる。けれど、蛇曰く、もしも眼鏡を探すことができなければ、この世界は終わりを迎えてしまうのだという。
 そんな重大な眼鏡をどうして私はなくしてしまったのかと顔を青くしたのだけれど、蛇は、それは自分のあずかり知らぬことだ、と言って他人事のように大きな欠伸を一つするばかりだった。
ファンタジー
公開:21/02/05 21:31
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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