ゴミを捨てたのは誰

マンションのゴミ置場に行く途中、主婦のA子は駐輪場で話し込む３人の住人と出くわした。
「あら吉田さん。ちょっとこれ見て」
そこには無造作にゴミが捨ててあった。市の指定するゴミ袋ではなくお菓子袋や買い物袋にギッチリ隙間なく詰め込まれている。
しかもソレが３つも有るので置き忘れというよりは明確な悪意を感じた。
「誰がこんな…駐輪場は外から誰でも入れますもんね。私ついでに捨てときます。ゴミ袋にまだ余裕あるし」
「ありがとう。でもここにも防犯カメラ無いと駄目ね。管理人さんに相談しなくちゃ」
その声を背中に感じながらA子は推測した。
野菜詰め放題の如くギチギチにゴミを詰め込む几帳面さ。なのにポイ捨てをする無神経さ。
間違いなく犯人は判断力を欠如した状態のA型。判断力の欠如…
確信と共にA子の歩調は怒りを帯びていた。
A子はリビングのソファで寝込んでいる二日酔いの容疑者に怒りの尋問を開始する。