僕の世界

0
1

僕の世界は、四畳半の広さしかない。
空の上にいるみたいな水色の壁と。
海の中にいるみたいな青いラグ。
テーブルと本棚とベッド。
それが、僕の世界の全て。

僕の世界と、外の世界はとても近しい。
壁一枚、ドア一枚、窓一枚を隔てているだけだ。
けれど、僕がそのドアを開くことは無い。
窓にはいつも、カーテンが掛かっている。
僕は、いつも僕の世界にいる。

僕の世界は、大変居心地が良い。
程よく狭くて程よく広い。
僕以外誰も入ってこられないのだから、誰かに気を使う必要も無い。
だから僕は、僕の世界から出られない。

外の世界は、とても怖い。
今となっては、何が怖かったのかさえ分からなくなったけど。
一度恐怖を感じてしまえば、後は楽だ。
ずっと、僕の世界に篭ってしまえばいい。

…それでも時々、どうしようもなく本物の空が、海が見たくなるのだけど。
やっぱり僕は臆病なので、今日も僕の世界に閉じこもる。
その他
公開:21/02/03 09:19

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容