古着の行方

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「それすてちゃだめ!!」
そう言って私の足にひっつくのは、我が家の娘。今年小学生になったばかりの娘は、目に涙をたっぷり溜めて、私に必死に抗議する。
「それまだきるの!」
「もう無理よ」
娘が泣いている理由は、私が持っている服。幼稚園の時から着ていたもので、身体も大きくなって、着られなくなったものを処分しようとしていたところを見つかってしまった。
「だめ!だめ!!」
「ダメじゃありません」
大泣きする娘を引き剥がして、私は古着をダンボールにしまった。



「ちょっと来てごらん」
古着騒動から数日後、娘にスマホである写真を見せる。それは、可愛いピンクの服を着た見知らぬ子の写真。
その子の服を見て、娘がハッとする。
「わたしのふく!」
「そうよ。あなたの服、捨てるんじゃなくて他の人にあげたのよ。これなら、いいでしょ?」
そう言うと娘は少しむぅ…と悩んだ後、「それならいいよ!」と笑ったのだった。
その他
公開:21/02/04 12:09

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