昔の思い出

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貴方はぽかぽか陽気の中にいた。生い茂る草の中に堂々と座っていた。両目には大きな傷跡があった。いつもどこか遠くを見つめていた。






生きていたいと思う。
かつて壮大な草原を駆け回っていた足はもう動かないんだ。
もう視力だってほぼ全て失いかけている。
だけど僕は思う。
まだ美しく変わりゆく世界をずっと見ていたいんだと。
カーテンが揺れる。
あの白いいじらしいしっぽの先がチラリと見える。
もう少し、もう少し、と期待して、だけどすぐにいなくなる。
タイミングだ。と誰かが言った。
昔の君とは違っているだろう。もう何年も前のことだ。
それでも最後に一度だけ、君を一目見たいと思った。
それにしても今日は暖かい。
このまま眠ってしまいそうだった。

僕はもう何年も動いていない足を僕が持っている最後の力を振り絞って動かした。
恋愛
公開:21/02/03 22:34

きらきらのべる

読書が趣味で、自分でも書いてみたいなと思い始めました。
マイペースに投稿、どうぞよろしくお願いします。

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