瞬きの合間に
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瞬きをしたその刹那、目の前の光景が一変することがある。
他の街でならそんなことはあり得ない。けれど、ここは稀比都市だから起こるのだ。
例えば、私が高校で授業を受けている時に、少し瞬きをする。すると、つまらない授業で満ちているはずの教室は消えて、そこは湖の底に浮かぶ都市になったり、あるいはどこまでも薔薇の花が咲き誇る庭園に変わったりする。
私は景色が変わると、頑張って目を閉じないようにすることが多い。
なぜって、もう一度瞬きをしてしまったら、また元のつまらない教室、つまらない現実に戻ってしまうから。
できることなら、つまらない現実を永遠に忘れたい、ずっとこの景色の中に取り残されていたい。
そんな儚い思いを抱きながら、でも、今日も私は最後には堪えきれなくなって瞬きをしてしまう。
目の前の光景にさよならと、心の中で別れを告げながら。
他の街でならそんなことはあり得ない。けれど、ここは稀比都市だから起こるのだ。
例えば、私が高校で授業を受けている時に、少し瞬きをする。すると、つまらない授業で満ちているはずの教室は消えて、そこは湖の底に浮かぶ都市になったり、あるいはどこまでも薔薇の花が咲き誇る庭園に変わったりする。
私は景色が変わると、頑張って目を閉じないようにすることが多い。
なぜって、もう一度瞬きをしてしまったら、また元のつまらない教室、つまらない現実に戻ってしまうから。
できることなら、つまらない現実を永遠に忘れたい、ずっとこの景色の中に取り残されていたい。
そんな儚い思いを抱きながら、でも、今日も私は最後には堪えきれなくなって瞬きをしてしまう。
目の前の光景にさよならと、心の中で別れを告げながら。
ファンタジー
公開:21/02/03 21:24
稀比都市サーガ
幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。
アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。
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