ドッペルゲンガーの創造

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蔵に有った培養箱の説明書通り、対象の一部を集めるのは大変だった。私が何とか集めたのは以下だ。


唾液




私は全て苗床に埋め、待った。

学校では「彼女」に毎日虐められる。
しかし今迄の様に死は願わなかった。

10日経つ頃、蔵を開くと芳香が漂っていた。恐る恐る箱を開く。
羽化した「彼女」が薄目を開けていた。抱き起してやると柔らかな笑い声をあげて私に腕を回し、何度もママ、と呼んだ。

彼女の分身は5日程で成長し、私は毎日分身と遊び歩いた。姉妹の様に睦まじく。

やがて私達は「本物」と行き会った。嗤えるほど青ざめ歪んだ唇が震えている。
私達はくつくつ笑い合い口づけてみせた。
 激昂する本物から逃げつつ、分身は私の周りをスキップし、もっとキスしてと笑った。
 
翌日学校に本物は来ず、その後も見る事はなかった。
分身は一月ほどで残花が崩れる様に死を迎えた。最期まで私をママと呼んで。
ホラー
公開:21/02/01 22:13

hacca0505( 日本 )

楽しく文を書いたり絵を作ったりしたいです。
HP
http://10galow.pepper.jp/

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