留守番の条件

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押入れを掃除していると昔大好きだった本が出てきた。
懐かしい。久しぶりに読もっと。
鼻歌交じりに本を開くと中は白紙だった。全てのページが真っ白だった。
どういう事?私の頭も真っ白になる。
暫く白紙の本を見つめているとページに変化が起こり始めた。
本の登場人物がセリフを抱えて大急ぎで戻ってきたのだ。
「もう少々お待ち下さい」
私に頭を下げる主人公。何が起こっているの?
「貴方が中々本を読んで下さらないので我々、本の中にいるのに飽きてしまったんです」
昔はあんなに読んで下さったのに…と肩を落とすヒロイン。申し訳ない…
「本は我々の家です。留守番を続けさせたいのなら定期的に読んでください。そうしないと家出しますよ」
敵役から説教されてしまった…尤もな言い分なので反論できない…
「準備できた?では物語をお楽しみ下さい!」
主人公のゴーサインに本を読み始める。
心なしか、登場人物が嬉しそうに見えた。
ファンタジー
公開:21/02/01 21:03

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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