ほころび

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『ようこそ、ブロッサム株式会社へ。これは人間に眠る才能を開花させるプロジェクトです。これから行われる実験に副作用はありません。あなたは寝ているだけで……』

テレビで流れるものと同じような説明が終わると、ヘッドギアを付けて横たわる。

この実験は今まで何百回と行われており、その被験者の誰もが何らかの才能を開花してきた。
見つかる才能のほとんどが際立ったものではないらしいがヘッドギアの製品化を望む声は多く、これが最後の臨床実験となる。

ほどなくして実験が終了すると僕のもとへ数人の研究員が駆け寄ってきた。

「貴方の才能は非常に珍しい!どうか製品化を前に研究させてもらえないだろうか」

なるほど、僕の才能はそんなに優れたものだったのか。
僕は迷いなく承諾した。

一方、研究室では先ほどの実験結果に大騒ぎだった。
研究員が呆然と呟く。

「……才能の花も、咲かすには種と土壌が必要なんですね」
SF
公開:21/02/01 20:40

葉智 樹壱

葉智 樹壱(はち きいち)と言います。
よろしくお願いします。

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