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不熟な時代、ある商人が露天で呼び込みをした。
「幸せの一歩手前になれる飲み物『さち』だ」
訝しがる客を前に商人は味見を勧めた。
それでも怪しむ客に商人は自ら飲んで見せた。
「味良し。飲むほどに良い気分だ。安くしとくよ」
何人かの客は買って帰っていった。
次の日、商人が準備をする段階から前日の客が待っていた。
「早くさちを売ってくれ!」
その様子と口コミで瞬く間に人々が殺到する商品になった。
ある日、商人の元に奉行所の役人が訪れた。
「今巷で、幸せになれる『さけ』という飲み物が横行しておる。飲んだ者は呂律が回らず健康被害も出ておる。粗悪な物を売りつけたのはお前か」
商人は大げさに手を振って見せた。
「役人様。私が売っているのは幸せの一歩手前。決して幸せになるとは申していません。そしてさけではなく『さち』です。お間違え無きよう」
役人は納得し去って行った。
下げた頭の下で商人はニヤリと笑う。
「幸せの一歩手前になれる飲み物『さち』だ」
訝しがる客を前に商人は味見を勧めた。
それでも怪しむ客に商人は自ら飲んで見せた。
「味良し。飲むほどに良い気分だ。安くしとくよ」
何人かの客は買って帰っていった。
次の日、商人が準備をする段階から前日の客が待っていた。
「早くさちを売ってくれ!」
その様子と口コミで瞬く間に人々が殺到する商品になった。
ある日、商人の元に奉行所の役人が訪れた。
「今巷で、幸せになれる『さけ』という飲み物が横行しておる。飲んだ者は呂律が回らず健康被害も出ておる。粗悪な物を売りつけたのはお前か」
商人は大げさに手を振って見せた。
「役人様。私が売っているのは幸せの一歩手前。決して幸せになるとは申していません。そしてさけではなく『さち』です。お間違え無きよう」
役人は納得し去って行った。
下げた頭の下で商人はニヤリと笑う。
その他
公開:21/02/01 11:26
まずは自分が楽しむこと。
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