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練習を終え、部室で着替えを始める部員達。
誰も彼もが鬼監督のやり方は時代遅れだと悪態を吐く。不満を爆発させる。

部室を出ると鬼監督が仁王立ちで待っていた。
(まさか聞かれていた?)
戦々恐々とする部員達に監督は豆を渡し始めた。
「今日は節分!お前達!日頃の鬱憤を晴らすべく俺に豆をぶつけろ!」
鬼の面を被った監督はそう言った。
ならばと全員が練習で鍛えた肩を存分に披露した。
「鬼は外!鬼は外!」と疲れも忘れ、豆をぶつけ続けた。

「お前達を苦しめた鬼は今日でいなくなる!」
豆まきが終わり、監督が言った。
「俺の練習は時代遅れだ。明日からは新しい監督の下で頑張るんだ!」
部員達は顔を見合わせ、豆を拾うと監督にぶつける。
「鬼は内…鬼は内…」と涙ながらに豆をぶつける。
鬼監督がいたから自分達は強くなった。だから戻って来てと願いを込める。
その気持ちを監督も感じていた。
鬼の面は涙で濡れていた。
青春
公開:21/02/02 20:50

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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