留守番の条件

犬は人につくらしいが猫である私は家につく。
この家は素晴らしい家だ。太陽光を沢山取り込む為に配置された窓はどこにいても日向ぼっこを味わえる。
家人もまた素晴らしい人達で私の世話を甲斐甲斐しく焼いてくれる。
ずっと居たくなる家とは、まさにこの家の事を言うのだろう。
だから私は死後もこの家に居ついた。家に憑りついたのだ。
この家と、家人に手を出そうものなら私が全力で相手になろ。一生分の恐怖を味合わせてやろう。
だがそんな私の親切を他所に、家人は不気味だとこの家を捨ててしまった。私は家に取り残された…これでこの家は私の物だ！
猫である私は家につく。そりゃ喜ぶさ。
留守番？苦じゃないさ。ここを訪れる人間に悪戯を仕掛けられるんだ。楽しくて仕方がない。考え続ける事が留守番を楽しむ条件さ。
山猫軒は今日も大騒ぎ。騒音は最高のBGMだ。
だが犬が苦手なのは変わらない。恐怖で家ごと逃げ出してしまう時もある。