お約束の私の命

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 私はロボット。高性能の自律型。
災害救助に派遣されたり、国家の危険な仕事も任されている、ロボットの中でもエリートだ。
今日は災害救助で多くの命を救った功績から、表彰式が行われる。警察犬だって表彰式があるし、ロボットの私にも当然ある。
…なのに、今日に限って充電するの忘れた!さすがに遅刻するわけにはいかない。バッテリーは持つかしら…。不安になりながら、会場に向かう途中で充電ランプが点滅し、エネルギーが切れる。

気がつくと、私はコンセントに繋がれて寝ていた。国の人は「緊張してしまったかい?最近ずっと稼働させていて悪かったね」と優しかった。その優しさが辛い…不甲斐ない、恥ずかしい。

こういう気持ちになりたくなくて、人間からロボットになったのに。
結局人間もロボットも、何が違うんだろう。場所が変わっても、私は私で、私を発表し続けるだけ。

自分がロボットでない証明なんて、誰ができるかしら?
SF
公開:21/02/02 15:50

エビ( 愛知県小野木町4丁目 駅のホーム )

※存在しない地名なので安心して下さい

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