そして鳥はうたう

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私はブルー。青の星にうまれた。
墨色の宇宙に浮かぶたったひとつの青い星。その青い星にひときわ青い島がある。それが青の国だ。
青の国には王様がふたりいて、しかし王宮はなく、それぞれ海辺にある美術館と森の図書館に絵画や絵本のように暮らしている。
王様は国民である青のためにピアノを弾きタップを踏んだ。すべての青は王様のセッションがはじまると、狩りや祈りや食事の手をとめて、その音色とリズムに恋したように耳を傾けて同じ時を生きる歓びと儚さに酔った。
この国の朝焼けはいつだって震えるほどに美しい青からはじまり、夕焼けもまた美しい青を残しておわる。それが王だ。私は今夜その王とすべての青を奪い去る。
多くの夢がうまれる墨色の宇宙で、私はあの音色とリズムを独り占めしたいと思った。
私はブルー。青い鳥。
青の国を背中にのせたまま自分の夢を諦めたくない。
私は翔ぶ。いつか必ずすべての青とこの美しい星に戻るから。
公開:21/02/02 15:06

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