「誠心誠意」

映画館。長い映画だったがいつのまにかエンドロールが流れている。いつまでも文字列が続いている。スクリーンの前にはぼんやりと二つ三つの頭が見えるだけでほとんど人はいない。ほぼ中央の席。小さな古い映画館。どこからとなく場末の臭いが漂ってくる。
どんな映画だったのか、もう忘れてしまい思い出せない。スクリーンに白い文字が流れている。人名は終ったようだ。知らないカタカタとアルファベットが続いて上ってくる。いくつも関係するブランドや企業名や組織団体名か。
やがてスクロールが緩やかになって、大きな文字が上ってきて真ん中で止まる。「誠心誠意」の四文字。エンドクレジットか。監督？プロダクション名？あるいは何かのメッセージ？
四文字が止まったまま映画館はますます暗くなってきた。文字だけが白く浮き上がる。
排除を受けた夜のことだった。誰の意図なのかわからないが意図的な排除措置命令を受けたのだった。